ブランド戦略の事例を知る

大きな愛で、カラダとココロを元気にする

2026/03/13

 

 

 

ハッピーで元気になれる直売所

「売ってよし」、「買ってよし」、「来てよし」、三方よしの、元気でハッピーな市場が沖縄にある。宜野湾市宜野湾漁港近くの複合施設「ぎのわんゆいマルシェ」内にあるファーマーズマーケット「ハッピーモア市場 Tropical 店」だ。店に一歩足を踏み入れると、沖縄の強い陽射しの下で育った瑞々しい野菜や果物がにぎやかに並んでいる。スーパーでは見かけない島野菜や薬草もある。「からだにハッピー、ココロも元気に」をテーマにした豊富な品揃えと独創的な売り場レイアウトで人気の直売所だ。

彩り豊かで生命力を感じる野菜たちは、農家から直接仕入れたものばかり。商品袋には「栽培期間中の農薬及び化学肥料の使用状況」が、色分けシールで分かりやすく表示されている。有機野菜や減農薬栽培の野菜を多く扱うのもハッピーモアが支持される理由の一つでもある。

野菜が並ぶ棚には、特徴やおすすめの調理法といった商品説明がスタッフお手製の POPで記されている。仕入れの際、スタッフは農家から直接生育環境やこだわりを聞く。すると、その熱い思いをお客様へ伝えようと、手書きの説明にも力が入る。作り手の思い、売る側の美味しくて良いものをお客様へ届けるという誇り、商品の魅力が詰まった売り場で、訪れる客はみんなワクワクした笑顔で商品を選んでいる。なんだか、ここにいるだけで元気になってくる。

 

 

有機野菜・減農薬栽培の野菜にこだわるワケ

静かな熱気に満ちた「ハッピーモア市場」は、230 坪ほどのビニールハウスを改装した野菜の直売所から始まった。経営する有限会社ハッピーモアの多和田真彦代表が、父からトマト栽培のハウスを譲り受けたことから、地域の人が集まれる場所にしようと直売所を立ち上げた。「農業の経験がない、野菜のことも分からない状況で、父の知り合いや近隣農家に助けられながらのスタートでした」
当初は思うように売れず、野菜を卸してくれる農家はどんどん減った。残ったのは小規模農家。スーパーに卸すほど大量には作れないが、有機栽培や無農薬で育てた美味しい野菜はいつしか口コミに乗り、プロが仕入れに来たり遠方から訪れる客もいたりと、知る人ぞ知る人気店になった。
ハッピーモア市場が有機野菜や減農薬栽培の野菜に力を入れるようになったきっかけもここにある。「店を支えてくれる農家の想いを大切にし、商品の良さを客に伝えていくうちに少しずつ売上が伸びていきました。必然的に市場に出回りにくい高品質なものを扱うことが増え、それらのニーズが高いことにも気づけたんです。お客様へ食を通したヌチグスイ(健康)を提供したいと思うようになりました」
それは、市場に出せない野菜を育てていた小規模農家の支援にも繋がった。売り手が付くならと、希少な島野菜や薬草を育てる農家も増えている。多和田代表は取引先、従業員、顧客、ハッピーモア市場に関わるすべての人々と「顔が見える関係」でいたいと話す。「作り手の努力や苦労をわかるからこそ、お客様には農家の状況・農家の心をきちんと伝えたい。それが私たちの仕事です」。ハッピーモア市場は直売所でありながら、作り手と買い手の交流の場でもある。人気店となったハッピーモア市場は県内外から注目度が上がり、2001 年、現在の場所に2号店となる Tropical 店をオープン。その後、本店を閉め、Tropical 店に一本化する。今では約 1,000 戸もの農家と直接契約し、登録農家数は 3,000 を超える。小さな農家の応援隊として、生産者を応援し続けている。

 

 

スタッフとのおしゃべりが楽しい

ハッピーモア市場の魅力は、体に良い野菜を売っていることにとどまらない。生産者名や搬入日、栽培方法まできちんと明示した安心安全な販売方法で顧客の心を掴んでいる。県内外の米や調味料、沖縄の特産品を使った加工品や菓子もたっぷり揃っていて、いつ来ても楽しい。1日に何度も焼き上げるオリジナル「完熟バナナケーキ」や旬の野菜・果物・薬草を使ったスムージーも大人気だ。

そして、それらを売るスタッフがまた魅力的なのだ。スタッフは全員インカムを付け、客からの質問やバックヤード状況を共有し、笑顔での接客を心がける。一人ひとりが売り場のプロフェッショナルで、季節野菜の入荷や商品の魅力をアピールする店内放送もスタッフが持ち回りで行う。スタッフによってトークの切り口が違ったり、思わぬ商品がおすすめされたり、客が「良いもの」を選ぶきっかけ作りになっている。

「スタッフは客や農家と直接顔を合わせて会話します。お互いの顔が見えると、相手を大事にしようと思う。その思いやりが笑顔になる。初めのころ、売る野菜がなかったら笑顔を売りましょうと話していたくらい、笑顔は大事。スタッフと客の距離感が近いと、店に活気が出て、お客様の買い物満足度が向上します」と、多和田代表の妻であり取締役の敬子さんは話す。どうしたら楽しみながら真剣に働いてもらえるか考え、スタッフに農家からの仕入れを任せたり POP づくりを任せたりと、参加型の経営を目指す。スタッフがお客様目線で行動することで、ハッピーモア市場ならではの空気感が作られる。

 

 

おきなわブランドとして目指す夢

「お客様の中にはうちで買った野菜を食べて体調が良くなったと喜んでくださる方もいて、私はその笑顔がとても嬉しいんですね。お客様にもっと笑顔になってほしい。ハッピーモア市場で買い物を楽しんで、安心安全な野菜をたくさん食べて元気になってほしい」。笑顔の輪はスタッフ、農家、客へと広がり続ける。
ハッピーモア市場は客の健康だけでなく、沖縄県内における農業の活性化も目指している。今、敬子さんは「沖縄に昔からある島野菜を若い人たちにも食べてもらいたい」と、サラダバイキングの構想を練っている。
「ハンバーガーやポークは美味しいけど、それだけじゃ元気になれない。やっぱり野菜もたくさん食べてほしい。海外でレストランを視察したときに、いろいろな野菜や果物が手軽に選べるサラダバイキングがあって、若い人にも人気でした。うちの市場でもやってみたい!って思ったんです。実現にはいろいろな条件があって、まだ難しいけれど、沖縄で育った人が沖縄の野菜を食べて元気になると良いなあって思います。沖縄ならではの野菜を作る農家さんも応援したいし、有機栽培・減農薬栽培の良さもどんどん広げたい」。多和田夫妻から広がる思いやりが大きな夢になり、沖縄の農業の未来を支えていく。

 

 

有限会社ハッピーモア

本社住所    〒901-2213 沖縄県宜野湾市志真志 1 丁目1-2

WEB      https://happymore.jp/